零の狼-新撰組零番隊-
「知ってますって顔だな」

鬩ぎ合う刃と刃は、やがて鍔迫り合いへと移行する。

「浅葱色に段だら模様の羽織…『新撰組零番隊』かよ…噂は聞いていた。警察にも属さない独自の治安維持部隊で、時代錯誤の都市守護をしているっていう…幕末はとうに終わったんだぜ?」

「……」

私は返答はしない。

代わりに鍔迫り合いの小太刀に力を込めた。

確かに幕末は終わった。

しかし、日本の腐敗は終わっていない。

どこまでも迷走を続ける日本。

このままこの国が腐り落ちていくのは見るに忍びない。

誰かが立ち上がらねばならないのだ。

最早他人任せになど出来ない。

だから私は躑躅森組長の…いや、初代新撰組の、土方歳三副長の遺志に共鳴したのだ。

< 28 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop