零の狼-新撰組零番隊-
ギリギリと。

私の小太刀が、男の人斬り包丁を押し返していく。

恐らくは数多のヤクザ者の血を啜ってきた忌まわしき刃。

しかし、血を吸った数ならば、私の小太刀も負けてはいない。

「大した膂力だ…女だてらによ…」

「女は…関係ありません…っ」

男の腹筋に蹴足を入れ、私は彼を突き放した!

たまらず後退する男。

私はまたも小太刀を逆手に持ち替えて斬り込む!

小太刀の自重と、しなやかな手首の動きで、鋭い斬撃を次々と叩き込む。

響き渡る撃剣の音。

さしもの人斬り包丁も、私の小太刀の速さと威力には防戦一方のようだった。



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