零の狼-新撰組零番隊-
「俺ぁ降参だって言っただろ?戦う意思のない者まで斬り捨てるのが、新撰組零番隊のやり方かい?」
「……」
不服をあからさまに顔に出し、私は男を見据えた。
そんな視線での抗議もどこ吹く風。
男は無防備に、私に背中を向けた。
私に敵意はないと考えたのか、それとも私が斬り込んでも捌ける自信があるのか。
とにかくがら空きの背中を向けたまま、境内を歩き、そばの樹木の枝に手を伸ばす。
…枝には羽織がかけてあった。
浅葱色に段だら模様の羽織。
「…!…貴方は新撰組の隊士ですか?」
思わず口に出す。
振り向いた男は、ニッと笑った。
「新撰組零番隊新入隊士、一七夜月小次郎(かのうこじろう)だ」
「……」
不服をあからさまに顔に出し、私は男を見据えた。
そんな視線での抗議もどこ吹く風。
男は無防備に、私に背中を向けた。
私に敵意はないと考えたのか、それとも私が斬り込んでも捌ける自信があるのか。
とにかくがら空きの背中を向けたまま、境内を歩き、そばの樹木の枝に手を伸ばす。
…枝には羽織がかけてあった。
浅葱色に段だら模様の羽織。
「…!…貴方は新撰組の隊士ですか?」
思わず口に出す。
振り向いた男は、ニッと笑った。
「新撰組零番隊新入隊士、一七夜月小次郎(かのうこじろう)だ」