零の狼-新撰組零番隊-
額田は気安く私の腰を抱く。

「お嬢ちゃん、私のファンか?若いのに政治家に興味を持つとは感心だ。どれ…私が直々に政治家のイロハを…」

酒臭い息を吐きながら言いかけた額田の腹に。

「いぎっ!」

私は刃を突き立てた。

小太刀。

刀よりも刀身が短く、取り回しのきく刀剣。

その根元近くまで、額田の脂肪に覆われたどてっ腹に押し込んだ。

「先生!」

「額田先生!」

二人のSPが今更慌てる。

「あひぃいいぃ…!」

その場に尻餅をつく額田と入れ替わるように、SP二人が懐の拳銃を抜こうとした。

私はそれを制するように動く。

額田の腹から小太刀を引き抜くと同時に間合いを詰め、懐に突っ込んだSPの腕を斬り上げで切断。

返す刃でもう一人のSPの喉笛を切り裂く。

< 4 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop