零の狼-新撰組零番隊-
しかし、その睨み合いも僅か。

「けっ」

六郎面さんは私を突き飛ばし、ナイフを納めた。

「七種雲母(さいぐさきらら)…俺が追っていた威震志士の名前だ。なかなかに出来る奴だ…せいぜい用心するんだな」

私との小競り合いに興味をなくしたかのように、彼はその場から去っていく。

去り際にもう一言。

「躑躅森に礼を言っておくんだな」

彼は肩越しに私達を見る。

「てめぇの目的が両親の仇討ちなんてのは、とっくの昔に知れている…だからこそ躑躅森は、任務として仇討ちができるように、てめぇらにこの仕事を回したんだ。組織の長としては、甘いにも程があるがな…」

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