零の狼-新撰組零番隊-
「七種雲母」

激昂する一七夜月さんを制する意味も含め、私は二人の間に割って入る。

「お前は…?」

「新撰組零番隊隊士…春夏秋冬祝…一つ聞きたい事があります…」

問いかける七種に対して名乗るのももどかしく、私は質問を返した。

「貴方が今しがた暗殺したのは…対テロ対策法案を推し進めていた政治家です…威震志士は日本国の腐敗を正すという点において、我々新撰組零番隊とは志を同じくする筈…テロを撲滅するという意味では、あの政治家は腐敗を正す存在ではないのですか…?」

「…何もわかっていないな、春夏秋冬祝」

私の問いに、七種はまたも嘲笑する。

「この国の腐敗は、最早深部にまで達している。上辺だけの病巣を切除したとて、何の解決にもならぬのだ」

七種が掲げる鎌。

その切っ先が鋭く光った。

「この際テロでも何でも構わぬ…一度日ノ本は零に戻すべき…無に還すべきなのだ。腐り切ったこの国を滅ぼす事こそ荒療治…それを、テロを撲滅するだと?それこそ腐敗進行を助長する愚策に過ぎぬわ」

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