零の狼-新撰組零番隊-
満月が再び雲に隠れる。

その際に出来た闇の中に同化するように。

「!?」

七種は姿を消した。

…漆黒に慣れるまでは時間がかかる。

それ程の闇の中。

「駄目だな、お前らは」

声だけが周囲に響いた。

「腐敗を正すという事の意味を全く理解してはおらん…腐敗を正すとは、病を元から絶つという事。表層的なものだけではなく、根本から叩かねばならん。お前達新撰組のやり方では、一時凌ぎに過ぎん。そのやり方では腐敗はやがて別の場所に転移し、再び国を腐らせる」

「くっ…!」

歯噛みする一七夜月さんの声が聞こえる。

彼と背中合わせに立つ私も、七種の姿は視認できていなかった。



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