零の狼-新撰組零番隊-
「腐敗そのものが理解できぬお前達のやる事など、所詮は児戯…ゆくゆくは、お前達そのものが日ノ本の腐敗そのものになりかねん。そうなる前に…」

「……!」

ふと、頬に氷を押し付けられるような感覚。

直感で小太刀を横に構える!

その瞬間、ギィン!と。

甲高い金属音が響いた。

私の刃は、側面から薙ぎ払われた三日月状の刃を受け止めている。

「ほぅ」

闇の中からまた声。

「見えていないにもかかわらず、俺の二丁鎌を受け止めるか…腐っても『零の狼』だな」

『零の狼』とは、新撰組零番隊の俗称。

裏世界の人間には、零番隊の隊士はそう言った方が通りがいい場合もある。

だが、今はその呼び名も皮肉にしか聞こえない。

七種の横薙ぎを受け止められたのも、単なる偶然に過ぎないのだから。

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