零の狼-新撰組零番隊-
『そういう訳だ。任務、額田新次郎暗殺、ご苦労』

「……」

躑躅森組長の言葉にも、私は無言のまま。

携帯電話越しに頷いて見せた。

勿論躑躅森組長に見える筈もないが。

…受話器越しに、組長が微かに笑う気配。

『相変わらずだな、春夏秋冬』

零番隊の最高指揮官である躑躅森組長からの問いかけに返事をしないなど、本来ならば無礼千万。

しかし彼も私の人となりを理解しているらしく、別段咎めはしなかった。

元々新撰組零番隊は曲者揃いだ。

立場が違えば最重要危険人物として国から追われる事になるような、そんな人物ばかりの集団。

それらを統率し、適材適所に配置し、結果を出す。

躑躅森隼人という男の、指揮官としての有能さの何よりの証明でもあった。

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