零の狼-新撰組零番隊-
本来ならば、隊規違反は切腹もの。

しかし、そこまでの罰を与える必要もないだろう。

そう言って減罰を要求したのは、意外にも六郎面さんだったという。

任務を任せた自分にも責任はある。

私や一七夜月さんだけに罪を被せる訳にはいかないというのがその理由だった。

…懲罰房に入室した躑躅森組長は、私の目の前に一冊のスクラップブックを投げる。

「この三日間の、政府関係者殺傷事件の切り抜きだ。全て威震志士による犯行…恐らくは七種雲母によるものだと思われる」

「……」

私は無言のまま頷く。

組長の言わんとしている事はわかる。

これは、私の招いた罪。

私達が七種をみすみす逃がした事で、人斬りによる凶行が横行した幕末の京都の如き無法地帯が、再現されてしまったのだ。

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