零の狼-新撰組零番隊-
だが…。

私は躊躇いを覚える。

私には尚も迷いがある。

本当に新撰組零番隊の掲げる思想に間違いはないのか。

腐敗の表層のみを斬り捨てる事だけで、この国は本当に甦るのか。

腐敗を絶つにはこの国の根本から絶たねばならない。

即ち、この国を零に戻すしかない。

本当は、七種の言う事の方が正しいのではないだろうか。

俯いたまま苦悩する私。

その苦悩を察するように。

「春夏秋冬」

躑躅森組長は呟いた。

「新撰組隊規にある『士道』とは、武士の守り行うべき道義、武士道の事。ならば…我ら新撰組の守るべき武士道とは、何だ…?」


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