零の狼-新撰組零番隊-
躑躅森組長は、私の目の前に一振りの刀剣を置いた。

没収されていた私の小太刀だ。

そしてゆっくりと立ち上がり。

「!!!!!!」

腰に帯びた日本刀を抜刀!

そのただ一閃のみで、私の手足を封じていた手枷足枷は両断された。

…躑躅森組長の愛刀は、彼が平隊士時代から愛用している品で、無銘ながら銘刀にも匹敵する業物だという。

「春夏秋冬」

躑躅森組長はもう一度呟いた。

「新撰組隊規は誤りだと思うか?新撰組の思想は間違いだと思うか?もう一度よく考えてみろ。そして、自分の信じた道に誤りがないと思ったのならば…」

羽織を翻し、組長は懲罰房を出て行く。

「迷う事なく立ち上がれ。懲罰房にはもう施錠はしない。自らの足で出て来い」


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