零の狼-新撰組零番隊-
それから、どれ程の時間が経過しただろう。

一人、闇の中で自問自答が続く。

士道とは、新撰組とは、私の信じた道とは…。

考え、考え続け、考えあぐねた末に。

私は一つの答えを出す。

…何の事はない。

難しい事ではないのだ。

日本の腐敗とか、憂国の士だとか、そんな難しい事は考えなくていい。

たった一つだけなのだ。

そう、分かりきった事。

誰かのエゴで、誰かの決めた事で、私の両親のような、罪もない人々が悲しむ事のないように。

それが、私が新撰組の思想に共鳴した理由…!

結論が出れば早かった。

目の前に置かれた小太刀を手に取り、自らの足で。

私は懲罰房から出て行く!

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