零の狼-新撰組零番隊-
私はまだ十八。

零番隊の中でも最年少であり、男所帯の新撰組の中にあって、唯一の女。

しかし任務遂行能力に関して言えば、他の隊士達に遅れをとっているつもりはない。

それ故に組長も私を信頼して任務を任せてくれるのだと思うし、私も躑躅森組長の信頼に応えるべく剣を振るう。

それが例え人命を奪う、汚れ仕事だとしても。

…初代新撰組も、人斬り働きを主とした汚れ役で、敢えて汚名を受けていた。

後ろ指差されようとも、日本の為に血刃を振るった憂国の士。

結果として、幕末、新撰組は敗者の側に立ったものの、その生き様に今も感銘を受ける若者達は後を絶たない。

私達新撰組零番隊は、『壬生狼』の遺志を継ぐ者達。

そしてその壬生狼の精神を体現する組長、躑躅森隼人に心酔…狂信と言い換えてもいい…する、救国の為の集団なのだ。

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