零の狼-新撰組零番隊-
外に出ると。

「出てくると思ったぜ」

外では一七夜月さんが待っていた。

腰には人斬り包丁。

相変わらずの羽織の片肌脱ぎ。

とても反省したとは思えない出で立ち。

しかしその瞳からは、復讐に囚われていた憑き物のような黒い怨念が消えているようにも見えた。

「躑躅森組長から伝達だ」

一七夜月さんが言う。

「六郎面が、現在七種雲母を追跡中。ある程度追い詰める事が出来ているそうだ。俺とあんたが初めて出会ったあの神社だ。今から行けば、討伐には間に合うだろうとの事だが…」

どうする?と。

一七夜月さんが目線で問いかけてくる。

…答えるまでもない。

颯爽と、私は羽織を翻しながら歩き出す。

「一七夜月小次郎隊士…私の後に続いて下さい…」

「了解だ、春夏秋冬祝先輩」

一七夜月さんはニヤリと笑った。

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