零の狼-新撰組零番隊-
私と一七夜月さんは神社へと急ぐ。

既に外は幾度目かの夜。

月も三日前に比べれば、幾分欠けていた。

あの月が欠けた分だけ、七種は人を斬った。

思想主義に反する者達を、その凶刃の錆としたのだ。

まさしくそれは、血風の魔都と化した幕末の京都と同様。

己の思想しか認めず、相反する思想の持ち主は、天誅の名の下に刃を振るった。

無辜の民、力なき者達はただひたすらに震え、動乱が過ぎ去るのをじっと耐えるしかなかった。

…あってはならないのだ。

今はもう太平の世。

民衆が動乱に泣く世の中では、あってはならないのだ。

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