零の狼-新撰組零番隊-
やがて、私達は神社に到着する。

境内に足を踏み入れた途端。

「……!」

ピンと張り詰める空気。

その緊張感に、私達は身構える。

「よぉ…来たかよ」

闇の中から声がする。

目を凝らす。

…そこにいたのは、二振りのナイフを構える六郎面さんの姿。

頬に血を伝わらせ、身につけている段だら模様の羽織はズタズタに切り裂かれてしまっている。

「チッ…新しいのを支給してもらわにゃいかんな」

舌打ちする六郎面さん。

彼ほどの隊士がここまで苦戦するとは。

対峙する相手の力量が窺えた。

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