零の狼-新撰組零番隊-
そんな六郎面さんの相手。

…彼の目の前にはいない。

闇に紛れ、死角に紛れ、この境内でこちらの様子を窺っているのだろうか。

「何とかこの神社にまで追い詰めたが…俺ぁもう止めだ」

六郎面さんはナイフを納めた。

「こんな難儀な奴の相手なんて、面倒臭くてやってられねえ…それにこの任務は、もうお前ら二人に任せてるんだ…きっちり後始末できるんだろう?」

彼の問いかけに、私は無言のまま頷く。

その私の表情に、何を感じたのか。

「ケッ」

六郎面さんは背を向けた。

「生意気な…この三日でヒヨッコが若鳥に成長してやがる」

そのまま境内を歩いて出て行く六郎面さん。

「もうケツ持ちを回すんじゃねぇぜ?ここできっちり決着つけろ」

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