さくらさくら
働き先は大きな通りの中にある大きな商店だった。

旦那様と奥さまは暖かく迎え入れてくれた。

「まぁ、かわいい子だこと!」

「本当の娘みたいだ」

「よろしくお願いします」

深々と頭を下げた。

「これが1人息子の水泉(スイセン)だ。名前が似ているから仲良くなれそうだな」

旦那様の横には背が高く長い黒髪を白い紐でしばった私と同い年の青年がいた。

かっこいい…

いやいや私は奉公人、恋なんて許されないわ。

これが水泉様との出会いだった。
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