AIR
「あ、えっと…名前なんだっけ………」
覚えててくれてなかったか…
そりゃそうだよね…
影が薄いあたしだもん…
「高橋麻由です……」
「あっそうそう!麻由ちゃんだ!」
麻由ちゃん…
悠斗くんがあたしの名前を呼んだ。
たったそれだけなのに、涙が出そう。
「そんなに濡れたままだと風邪ひくからさ、着替え持ってくるよ。」
きっ着替え!?
「いっいいよっ!私なら全然大丈夫っクシュンッ!」
「大丈夫じゃないでしょ。ちょっと待ってて。」
なんて言って、店の奥にきえていった。
気が付いたら雨は止んでいて、雲の切れ間から光が差し込んでいた。