AIR
昇降口を出て、二人で並んで歩く。
今にも心臓がとびだしてきそう。
「あ、麻由ちゃんって俺んちと方向一緒だよね?」
暗くてよく見えないけど、たぶん悠斗くんはこっちを見ている。
「あ、うんっ。悠斗くん家から20分くらいだよっ!」
「案外近いなー。」
校門を出て、同じ方向に歩いて行く。
時折、涼しすぎる風が二人の髪を揺らした。
田んぼを抜けると、もうすぐ悠斗くん家の商店街。
ちらほら明かりが見えはじもた。
その間、悠斗くんと私は何も話さず、ただ歩いていた。
ほんとは話したいのになぁ………
私、悠斗くんのこと何も知らない。
もっと悠斗くんのこと知りたい…