AIR
「なんて名前だっけ?」
「高橋麻由です……」
覚えててくれる訳ないよね…
だってあたし影薄いし…
「麻由ちゃんね。うん、できたら覚えておくよ。」
一つスマイルを振り撒いて、悠斗くんは走って行った。
そのスマイルがあたしに向けられたものだと思うと、胸の鼓動が、周りに聞こえそうなくらい大きくなった。
「おーい、麻由?生きてますかー?」
「えっ?うん、生きてるよ!」
かろうじて。
さっきの笑顔で一回死にかけたけどね。
「あんた、よかったね。悠斗くんと話せて。」
「うんっ!最高に幸せっ!」
悠斗くん、名前覚えてくれるかなぁ
なんて思いながら、家路についた。