全部、全部、全部、君だった…


笑顔を失って氷のように冷めている…百合がいた…


「ゆ…り…?」


その子は1つの方向を見つめたまま、俺に気づかない。


「百合!!」


大きい声で呼んだ。


その子は大きな目をめいっぱい広げて驚いた。


「…り…く…」


俺はその時…時間が止まったと思った。


「百合…お前どうして。」


周りがざわつきだした。


タッタッタッタッタ


「百合!!」


百合は走っていってしまった。


「おい!!陸!今の…百合ちゃんだよな…」


百合…なんで笑ってないんだ…なんで…


「百合…」


「おい!春樹に陸、氷の美少女と知り合いなのか?」


氷の…美少女…


「百合は氷なんかじゃねえ!」


百合は温かくて優しい俺の大好きな人だ。


百合…百合…百合…


全部、全部、全部、君だった…。
< 18 / 21 >

この作品をシェア

pagetop