全部、全部、全部、君だった…
笑顔を失って氷のように冷めている…百合がいた…
「ゆ…り…?」
その子は1つの方向を見つめたまま、俺に気づかない。
「百合!!」
大きい声で呼んだ。
その子は大きな目をめいっぱい広げて驚いた。
「…り…く…」
俺はその時…時間が止まったと思った。
「百合…お前どうして。」
周りがざわつきだした。
タッタッタッタッタ
「百合!!」
百合は走っていってしまった。
「おい!!陸!今の…百合ちゃんだよな…」
百合…なんで笑ってないんだ…なんで…
「百合…」
「おい!春樹に陸、氷の美少女と知り合いなのか?」
氷の…美少女…
「百合は氷なんかじゃねえ!」
百合は温かくて優しい俺の大好きな人だ。
百合…百合…百合…
全部、全部、全部、君だった…。