全部、全部、全部、君だった…
百合side 愛しい人の噂
陸と別れてから半年・・・。
私は今、どうやって笑ったらいいか分からなくなった。
こういう時に思い出すのが陸の言葉・・・。まだ付き合っていた頃の・・・。
『お前はずっと笑ってるんだぞ。何があっても笑ってろよ。辛い事があったら俺がすぐに助けにいくからな!俺がお前の笑顔を守るから。』
陸・・・。私はずっとあなた以外何もいらない。そう思ってた・・・。あなたを失った今、私はどうしたらいい?何も見えない・・・。辛い時はすぐに助けてくれるんじゃないの?私の笑顔を守ってくれるんじゃないの?
「百合ちゃん、おはよ!」
「・・・麻耶ちゃん、おはよ。」
この子は麻耶ちゃん。この学校の中で唯一友達と呼べてまともに会話をする子。中学の時の仲間で春樹くんの彼女。陸と別れた後とかに話しを聞いてくれた、私のよき理解者で同じクラス。
「一緒に教室行こ♪」
「うん。」
麻耶ちゃんはすごく優しい。でも私は笑えない・・・。
ガラッ
「佐々木さん、おはよう!・・新城さんも・・・。」
いつものあいさつ。私はいつも何も言わないから、みんなこうやってとってつけたように言う・・・。でも悲しいなんて思わない。陸と別れた時以上に悲しい事なんてないと思うから・・・。
「おはよう。」
「・・・。」
私はいつものように席に着いた。