混沌のグリモワール~白銀の探求者~
二節 純白の少女
Bクラス魔法生物、アダマンタイタスの討伐任務終了後、第七執行部隊の隊長であるグレアム・ライオネルは今回の任務報告の為にレギアス支部の管理部を訪れていた。
「アダマンタイタスがAクラスの魔力壁を展開……ですか。それは確かに異常と言わざるを得ませんね」
報告を聞いた管理部所属のレイチェル・リーネもこの事実に険しい表情を浮かべる。
本来有り得ないレベルの魔力壁を展開。考えられる要素としては突然変異によるもの。長期に渡っての成長。もしくは……
「混沌のグリモワール……でしょうか」
「あまり考えたくはないけど……可能性は否定出来ないわね。そもそもアウロラ近辺は完全な陸地。基本的に水辺に生息するアダマンタイタスが存在するはずがないわ」
「つまりは人為的なもの……と?」
「その可能性が高いってことは間違いないわね」
混沌のグリモワール――それは遙か昔、伝説とまで言われた魔術師であるカルツ・ウェーバーが書いたとされている一冊の魔導書。
ウェーバーはその魔導書にある術式をかけた。
それは使用対象の魔力を限界まで引き上げる禁術。
人間はもちろん、その効果は魔法生物にも適用される。
「あれから九年、未だ回収されていない禁術書、混沌のグリモワール……もしあれが悪用されてしまったら、大変なことになるわ」
混沌のグリモワールはウェーバーの出身地であるクローデンの村に警備付きで保管されていた。
それが九年前、クローデンを全壊させたあの事件で紛失。ほぼ間違いなく事件の犯人が持ち去ったものだと思われる。
混沌のグリモワール。それはあの時犯人を取り逃がしてしまったグレアムにとって、あの時家族や友人を失ったコーラルにとって、因縁深い書物なのだ。
「アダマンタイタスがAクラスの魔力壁を展開……ですか。それは確かに異常と言わざるを得ませんね」
報告を聞いた管理部所属のレイチェル・リーネもこの事実に険しい表情を浮かべる。
本来有り得ないレベルの魔力壁を展開。考えられる要素としては突然変異によるもの。長期に渡っての成長。もしくは……
「混沌のグリモワール……でしょうか」
「あまり考えたくはないけど……可能性は否定出来ないわね。そもそもアウロラ近辺は完全な陸地。基本的に水辺に生息するアダマンタイタスが存在するはずがないわ」
「つまりは人為的なもの……と?」
「その可能性が高いってことは間違いないわね」
混沌のグリモワール――それは遙か昔、伝説とまで言われた魔術師であるカルツ・ウェーバーが書いたとされている一冊の魔導書。
ウェーバーはその魔導書にある術式をかけた。
それは使用対象の魔力を限界まで引き上げる禁術。
人間はもちろん、その効果は魔法生物にも適用される。
「あれから九年、未だ回収されていない禁術書、混沌のグリモワール……もしあれが悪用されてしまったら、大変なことになるわ」
混沌のグリモワールはウェーバーの出身地であるクローデンの村に警備付きで保管されていた。
それが九年前、クローデンを全壊させたあの事件で紛失。ほぼ間違いなく事件の犯人が持ち去ったものだと思われる。
混沌のグリモワール。それはあの時犯人を取り逃がしてしまったグレアムにとって、あの時家族や友人を失ったコーラルにとって、因縁深い書物なのだ。