混沌のグリモワール~白銀の探求者~
 マンションの一室、自室にてコーラルはイクシードの調整をしている。
 武器の調整は各自で行わなくてはならない為、武器庫から解放した武器の返却期間は任務終了後の翌日。正し翌日も続けて別の任務に出る場合はそのまま継続して保持できる。

『本体強度96パーセント正常。本体魔力量97パーセント。イクシードシステム100パーセント正常』

 イクシードが発する機械的な声を聞きながら、刀身に付着したアダマンタイタスの体液をしっかりと拭き取る。

「リミッター一つ外しちゃったけど……大丈夫?」

『イクシードシステムに異常はありません』

「いや、そういう意味じゃないんだけど」

『よくわかりませんが、私は機械なので痛みは感じませんし、多少の衝撃や爆撃は問題になりません。それよりもマスターはご自分の心配をされた方がよろしいかと』

 心配した相手に逆に心配される。
 イクシードの言う通り、リミッター解除による被害はイクシード自身よりも使用者の方が大きい。

 イクシードに込められた多量の魔力をコントロールするにはかなりの集中力、魔力を必要とする。
 その上コーラルのスキル、バーストドライブは接近戦による近距離爆撃。
 自分も当然爆風による衝撃を受ける言わば諸刃の剣。

 コーラルが着用している執行部隊用の制服はところどころ煤で汚れていた。

「俺は炎熱系の魔力には耐性があるし、このくらいなんの問題もないよ」

『私はただの機械。破損しても修復することができます。けれど、あなたは生きているんですよ? 無理を続ければ寿命を縮めてしまいます』
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