混沌のグリモワール~白銀の探求者~
 リリィは一瞬にして目の前に現れたコーラルに反応して砲撃を中止。自らの周りに魔力障壁を展開する。

「はぁっ!」

 障壁に叩きつけられる魔力を込めたコーラルの拳。
 魔力同士が反発して火花を上げる。

「甘い甘い。あたしが防御魔法得意なの知ってるでしょ? イクシードなしじゃあたしの障壁は破れないよ」

「くっ……」

 それに――と続けるリリィ。

「むやみにクロスレンジに入るのは危険だよー」

 そう言ってコーラルに笑顔を向けるリリィ。
 コーラルはその笑顔になんとも言えない寒気を覚える。
 そして知ることになる。自分の判断が浅はかだったと……

「エクスキューション……」

 コーラルの周りに無数の魔力球が現れ、逃げ道を塞ぐ。

「ショット!」

 四方八方から降り注ぐ桃色の魔力球。
 それらはすべて無防備のコーラルに直撃した。

 ――――――

 訓練終了後、トレーニングルームには正座させられているフリッツとコーラルの二人と、お説教モードのリリィの姿。

「なんでもかんでも突っ込もうとするのはコーラルの悪いクセだね。相手からのカウンターも考えて動かないと」

「すみません」

 コーラルの訓練用装備はエクスキューションショット直撃の影響でボロボロ。
 エクスキューションブラストをまともに受けたフリッツも同じような状況だ。

 日々肉体の限界まで地道な基礎トレーニングを重ねるグレアムの訓練。
 常に死と隣り合わせなリリィの訓練

 どちらにしても第七執行部隊の訓練は『キツイ』その一言につきる。
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