混沌のグリモワール~白銀の探求者~
 純白の少女を連れてレギアス支部に戻った第七執行部隊一同は、管理部への任務報告後、解散。

 純白の少女は保護と検査の為に一時管理部に、悪人達は事情聴取の為に牢に送られた。

 自宅に帰宅したコーラルはグレアムが作った夕食を食べた後、自室にてイクシードの調整を行っている。

「流石に二日連続の出動は疲れたな」

『私はマスターと共にいることが出来て嬉しいですよ』

「イクシード……」

 任務外はイクシードは武器庫で保管しなくてはならない。
 他の武器と違ってイクシードには知能が、心がある。

 きっと寂しい思いをさせている。コーラルはイクシードを武器庫に返却する度に、申し訳ない気持ちでいっぱいになっていた。

『気にしないでくださいマスター。武器である私を相棒だと、友人だと言ってくれる。それだけで私はこの上ない幸せを感じているのですから』

「そんなの当然じゃないか。イクシードは村を出たあの日からずっと俺と一緒に戦ってくれて、俺を守ってくれて、本当に感謝してる」

『それは私も同じです』

 イクシードの刀身をしっかりと磨き、オイルを塗り終える。

 いつまでもその刀身が美しい輝きをなくさないのは、現所有者であるコーラル、そして前所有者であるコーラルの父が手入れを欠かさなかったから。

 イクシードはケイリュオン家に受け継がれる魔剣。コーラルにとっては父の形見でもある大切な剣だ。

「なぁイクシード……あの女の子のことなにかわかる?」

 問いかけるコーラル。
 悪人から狙われ、自分を御主人様と呼ぶ不思議な少女。

『あの少女のデータは私の中に存在しません。ただ……私の魔力計測器が、彼女の魔力をSランクと計測しました』
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