混沌のグリモワール~白銀の探求者~
 そうして、第七執行部隊の訓練が始まる。
 リリィとフリッツはいつも通りグレアムの元で基礎訓練。
 コーラルはソフィの個人指導だ。

 指導と言ってもまずは基礎の基礎。魔力のコントロールから。

 魔法とは魔力と言霊を媒介に様々な現象を起こす技術だ。

 体内の魔力を必要分だけ放出し、言霊によって魔法の形に変える。

 放出する魔力が少なすぎれば魔法は発動しないし、逆に大きすぎれば反発してしまう。

 基礎であると共に最も大切なこととも言える技術、それが魔力のコントロール。

『魔力放出量安定。精度99パーセント……完璧ですね』

「うん、凄い才能だ」

 一定量の魔力を体外に放出し続ける基礎訓練。

 ちなみに放出した魔力を硬質化することでそれがそのまま防御魔法の基礎、魔力障壁となる。

「この分なら障壁の展開も問題なさそうだね」

『イエス、魔力値が高いので過度の訓練にも耐えられますし、将来有望ですよ』

 側で様子を見るコーラルに、ソフィは魔力放出を維持したまま話しかける。

「ねぇ御主人様、御主人様の武器にも心があるんですか?」

 そう言ってコーラルの右手に収まるイクシードを見る。

「『も』ってことはもしかしてソフィの武器も?」

「はいっ、ボクのお友達、『セルシウス』です」

 腰に差した一振りの剣をコーラルに差し出すソフィ。

 細身の細剣。斬撃よりも刺突に向いた形状。女性でも扱えるよう重量はかなり軽めだ。

 柄の部分に埋め込まれた青色の核(コア)が輝く。

『私は氷の細剣セルシウス。よろしくねソフィの御主人様』

 どうやら御主人様呼ばわりはすでに全国的に決定事項らしい。
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