【愛祐実×詩音】スキをちょうだい~虹那編~
どれくらい時間が経ったんだろう?
泣き疲れて、頭がものすごく痛い。
「もう帰ろう」
涙を拭いてベンチから立ち上がると、ちょうどエレクトリカルパレードの真っ最中だった。
賑やかな音楽が聞こえてきて、遠くの木々の間から色とりどりの光が見える。
まるでその光に吸い寄せられるように、ゆっくりゆっくり歩き出した。
「ミッキー」とか「ミニー」とか叫んでる声が聞こえるということは、パレードももう終盤に近づいているらしい。
パレードを遠目に人を掻き分け歩き続けると、いつの間にかシンデレラ城前に辿り着いた。
ちょうどそのタイミングでパレードが終了し、座っていた人が一斉に立ち上がり移動し始める。
「うわっ」
人の波にのみこまれそうになった時、グイッと腕を引っ張られた。
「え?」
思わず振り返り、その相手をみて驚く。
「なんで……ここに……」
とっくにこの夢の国から出て行ってると思った人が、どうして……?
「なんでじゃねーよ。どれだけ探したと思ってんだ?」
「……」
「まったく。携帯も全部シカトしやがって」
こんなに寒いのに、額から汗が流れ落ちてるーー…
もしかして……今までずっと走り回って探してくれたの?
「なんでまた泣くんだよ」
「だって……」
嬉しいんだもん。
レイカちゃんのところに行ったんだとばかり思ってたから。
「レイカちゃんは大丈夫なの?」
「だから、あいつは断ったって何度も言っただろ?」
「でも」
「それにお前、勘違いしてんなよ」
「勘違い?」
「2度目の電話は、レイカじゃねーから」
「……え?」