【詩音×愛祐実】スキをちょうだい~亜依編~
「あ、颯太くん!!」
クリスマス作戦終了後、二人と別れてまだ残って
日直の仕事をしていたあたしの視界にふと入ってきたのは
「あぁ。まだ残ってたのか」
相変わらず素っ気ない答えを返してくる颯太くんで。
「颯太くんも委員会長かったね」
シャーペンを走らせる手を止めて颯太くんの後ろ姿を見つめる。
「あぁ。まぁな」
あたしの方を見てくれないのも相変わらず。
顔すら・・見てくれない。
ふと今日の虹那ちゃんと楓くんを思い出す。
あの二人は付き合ってないけど
でもお互いがお互いをちゃんと想い合ってる気がして。
虹那ちゃん。
虹那ちゃんの方が羨ましいよ。
「そっか」
しーんと静かな教室。
こんな二人っきりになるのはきっと初めてだ。
なのに。
さっきまで頑張るとか言ったくせに。
二人に宣言したくせに。
颯太くんの態度でそのやる気が一気になくなってしまう。
頑張る気が・・なくなっちゃう。
あたしの前にあるのは大好きな颯太くんの背中。
今抱きつきたい。
抱きついて言いたい、
「あたし彼女なんだよね?」
って。