【詩音×愛祐実】スキをちょうだい~亜依編~
楓くんが何か必死にお願いのポーズをしていて
颯太くんはそれを嫌そうに見ているだけ。
やっぱり・・あたしと一緒が嫌なんだよね。
だからあんな事・・
「それにしても凄い人だね~」
人が多いせいかスムーズに進まなくて。
あっちもこっちも人、人、人!!
アトラクションもいっぱい人が並んでるし。
ミッキーミニーにもいつもより人だかりが出来ている。
せめてもの救いは天気がいいことくらい。
「やっぱりクリスマスをここで過ごす人って多いんだね~」
特別な日には特別な場所で。
きっとみんなそう思ってるからここにいるんだろうなって
そう思えてくる。
「亜依」
ザワザワ騒がしい声にまぎれて聞こえた虹那ちゃんの声に
もう一度視線を合わせた。
「なに?」
「確かにさ、颯太の態度は悪いけど。
でも亜依の気持ちもちゃんと言葉にしないと
伝わらないよ」
それはまるで自分の事を言っているような
「気持ちは言葉にしないと伝わらないよ」
って意地っ張りなあたしが言える事じゃないけどね~なんて
続けるけど。
でも虹那ちゃんの言葉には説得力があって。
もう一度だけあたしにやる気を与えてくれた。