【詩音×愛祐実】スキをちょうだい~亜依編~
そっか、もうそんな時間なんだ・・。
やっとの思いで人ごみを抜け出して
トイレの近くにあるベンチに座る。
周りの人達はどんどんパレードが見やすい場所へと移動している。
あたしもほんとなら、こうして見ているはずだった。
大好きな颯太くんと一緒に。
「あたしはダメだったよ、虹那ちゃん」
ぽつりと呟いてみる。
そう言えばさっき颯太くんがレイカがどうとか言ってたけど。
レイカってあのレイカちゃんかな?
バッグの中から携帯を取り出すと、
チカチカとランプが付いていて。
中を見てみると虹那ちゃんからメールが入っていて。
「え?」
そこには
“やっぱり駄目だった”
それだけが書かれていた。
虹那ちゃん、ダメだったの?
急いで電話してみても繋がらなくて。
仕方なく電話を閉じた。
せっかくの楽しいデートも
二人ともダメになっちゃったんだ・・
ここは夢の国。
何でも叶えられる魔法の場所なのに。
あたしと虹那ちゃんは魔法がとけちゃったみたい。
でもね、神様。
すぐにとける魔法なら・・
最初からいらないよ。
暫くして明るい音楽が流れてきて。
みんなが騒ぎながら手を振っている。