【詩音×愛祐実】スキをちょうだい~亜依編~
今これ・・どうなってるの?
あたし今、颯太くんと何してるの??
「だって颯太くんは・・だってだって」
「少し黙って」
もう花火の音も
他の人達の声も
何も聞こえてこない。
耳元で囁く甘くて優しい声と。
ドクドクドクと少し速い心臓の音。
「亜依」
初めて名前を呼ばれた嬉しさに顔を上げる。
颯太くんの顔が近くてドキドキするけど。
でもその距離がくすぐったくて
嬉しくて
次第に距離が縮まり、彼があたしの唇に小さなキスを落とした。
あったかくて
蕩けるような
キャンディーよりも甘いキス。
「颯太、くん」
何だか今ここにいる颯太くんが本物かどうか分からなくて
唇が離れてすぐに彼の名前を呼ぶ。
「何?」
答えてくれた颯太くんの声がいつもより優しくて。
嬉しくなってまた抱きつく。
「ううん、何でもない」
颯太くんだ、確かにここにいるのは颯太くんだ。
あたしの大好きな、颯太くん。
「俺、初めてなんだ。女と付き合うの」