キミに愛を…
act.1
*Mao Side*
pipipi…
鳴り響く携帯を開くと番号のみが表示されている。
登録されていない番号。
でも一瞬で相手の顔が浮かんでしまう。
「はい」
「もしもし?」
声を聞いただけで、どれだけ自分が電話を待ち望んでいたのか思い知らされた。
「真緒」
「うん」
「仕事終わったんだ。今から出てこれる?」
「え〜、ヤダー」
「何だよ〜」
電話の向こう笑ってる。
その笑顔を想像しただけで胸がキュンとなった。
「何かあったんでしょ?」
「とにかくいつもの店で待ってるから」
そう言って私の返事を聞かずに電話を切った。
「…明日も仕事なのに…」
ため息をつきながらも着替えて私は薄く化粧をした。
彼に呼び出された時は、大抵パンツを履いてヒールの無い靴を選ぶ。
それは90%の確率で私が彼を家まで送ることになるから。
私を呼び出した彼は身長180㎝の売れっ子モデル『陸』で、私は身長160㎝の雑誌編集員『真緒』
身長差20㎝の大男を送り届けるのは一苦労なのだ。