キミに愛を…
「ごめんなー。今度改めて紹介するから」
「え? いいよー」
っていうか、紹介って!
彼女じゃないんだから家族に紹介なんて…。
まぁ陸はそんな深くは考えてないんだろうけど、私的にはちょっと嬉しかった。
ううん、かなり嬉しい…。
私、絶対ニヤけてるな…。
「あっ!そうそう!
俺、美咲と近々会うことになった!」
いきなりトーンが上がった陸の声。
暖かくなっていった私の心が一瞬で冷えていくのを感じた。
「え〜誘ったの?やるじゃん!」
平静を装って明るく装う。
でも携帯を持っている私の右手は震えていた。
「サンキュー!じゃあ、これから仕事に行くからまた報告するな!」
「うん。頑張ってね!」
「真緒も頑張れよ!じゃあな」
そう言って電話は切れた。
私は電話を切る事も忘れその場に立ちつくした。
ホントは会って欲しくないくせに…。
すごく苦しいのに強がる自分が嫌い…。
その場で泣いてしまいたかった。
ようやく私は携帯を耳から離し、着信履歴から陸の番号を消した。