キミに愛を…
いつものバーに着くと、カウンターに座る陸の姿が見えた。
私に気付くと軽く手を挙げた。
「陸」
「おう。座れよ」
いつものように陸の右側に座った。
「で、何?」
いきなり本題に入ろうとする私。
陸は苦笑いしながら、
「着くなりそれかよ〜。
まぁ何か頼めよ」
と言い、ポンポンと肩を叩いた。
「だって…」
『またあの子に何か言われたんでしょ?』
そう言いかけた言葉を飲み込んで、私はオーダーをした。
「…ご飯ちゃんと食べてる?」
陸の横顔を見ながら聞いた。
「お酒なら飲んでるよ」
そう言ってフフッと寂しげに笑った。
「陸…」
「まぁいいじゃん、とりあえず乾杯〜!」
軽くグラスを持ち上げ、私のグラスに合わせた。
カチン、と小さく音が響く。
しばらくお互い無言で飲み続けた。
「俺、やっぱダメかも…」