キミに愛を…



いつものバーに着くと、カウンターに座る陸の姿が見えた。



私に気付くと軽く手を挙げた。



「陸」



「おう。座れよ」



いつものように陸の右側に座った。



「で、何?」



いきなり本題に入ろうとする私。



陸は苦笑いしながら、



「着くなりそれかよ〜。
まぁ何か頼めよ」



と言い、ポンポンと肩を叩いた。



「だって…」









『またあの子に何か言われたんでしょ?』









そう言いかけた言葉を飲み込んで、私はオーダーをした。



「…ご飯ちゃんと食べてる?」



陸の横顔を見ながら聞いた。



「お酒なら飲んでるよ」



そう言ってフフッと寂しげに笑った。



「陸…」



「まぁいいじゃん、とりあえず乾杯〜!」



軽くグラスを持ち上げ、私のグラスに合わせた。



カチン、と小さく音が響く。



しばらくお互い無言で飲み続けた。










「俺、やっぱダメかも…」
< 2 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop