キミに愛を…
また始まった…。
けど、口にはしない。
「どうして?」
そう聞いてみた。
「俺、遊ばれてるもん」
「…」
「俺のこと、好きでもないのに電話してくるし…。
そんなことされたらこっちも期待しちゃうよ」
子供みたいな口調で拗ねる陸。
「あっちも好意持ってるかもしれないよ?」
そう言って私は陸の好きな女の子の顔を思い浮かべた。
最近人気の出てきた新人モデルの美咲。
私より4歳年下の19歳。
スラッと背の高い、綺麗な女の子。
私とは正反対…。
「う〜ん…」
うなり続ける陸を見ていると胸が痛い…。
「陸は好きなんでしょ?」
「うん」
この質問に限っては即答する陸。
諦める気つもりなんかないくせに…。
「その気持ちが全てだよ。
陸が好きならそれでいいじゃない!
無理して諦める必要なんかない」
「そうだよな!」
言いたくもない私の一言で陸の悩みは解決する。
陸は誰かに背中を押して欲しいだけ。
少し自信が欲しいだけ…。
陸に笑顔が戻り、私は延々と美咲さんの好きなところを聞かされながら飲んだ。
大好きなカクテルも今日はあんまり美味しくないな…。