キミに愛を…



陸の話す速度が遅くなり、会話が途切れ始めたところで私は席を立った。



「もう…しっかり歩いてね」


「ハァ〜ねむ…」



陸がもたれかかる私の左側だけが熱く感じる。



「真緒は…好きな男いないの?」



私の耳元で囁く陸。


キュッとなる心臓を鷲づかみされたような痛みが胸を走る。



このまま素直になれたら楽なのに…。



「……いないよ」



私は嘘をついた。



「真緒も恋が出来るといいな…。俺みたいに…」



「余計なお世話!」



右手で陸のオデコにデコピンをかましてやった。



「痛てぇなぁ…」



オデコをさすりながら文句を言う陸。



ホントに余計なお世話だよ!



心でつぶやきながら、涙が出そうになった。



鈍感男!



ホント、嫌いになれたらいいのに…。
< 4 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop