キミに愛を…
陸の話す速度が遅くなり、会話が途切れ始めたところで私は席を立った。
「もう…しっかり歩いてね」
「ハァ〜ねむ…」
陸がもたれかかる私の左側だけが熱く感じる。
「真緒は…好きな男いないの?」
私の耳元で囁く陸。
キュッとなる心臓を鷲づかみされたような痛みが胸を走る。
このまま素直になれたら楽なのに…。
「……いないよ」
私は嘘をついた。
「真緒も恋が出来るといいな…。俺みたいに…」
「余計なお世話!」
右手で陸のオデコにデコピンをかましてやった。
「痛てぇなぁ…」
オデコをさすりながら文句を言う陸。
ホントに余計なお世話だよ!
心でつぶやきながら、涙が出そうになった。
鈍感男!
ホント、嫌いになれたらいいのに…。