彼女は天使。
side R

一目見て、「天使だ」と思った。

絵画から飛び出してきたかのようなその少女を見て、そう思ったのは俺だけだろうか。

しかし、その子は少々天然らしい。

担任と彼女の会話を聞いて思わず吹き出した。

彼女はうちが去年まで男子校だったことを知らなかったようだ。

普通、編入する前にそれくらい確認するだろ。

白亜女学院から転校してきたということから推測しても、お嬢であることは間違いない。

しかも、箱入りっぽいし。

白亜女学院だったら、わざわざこんな学校に編入しなくてもそんなに遠くないのに。

何か事情があるのだろうか。

「天使美織です。よ、宜しくお願いします」
「俺は、神澤涼。よろしくエンジェルちゃん」

おもしろい。

絶対、手に入れてやる。

俺の企みなど知らず、優しい笑みを浮かべる彼女を見て、俺はにこりと笑みを返した。
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