彼女は天使。
「…涼さん」
「なぁに?エンジェルちゃん」

黒鷹学園に転校してきて、1ヶ月。

お昼はふたりでとることが私と彼の日課になっていました。

「今日も、すいません。本当はお友達と食べたいですよね」

本当は、お友達と一緒にご飯が食べたいんじゃないかな、とずっと思っていました。

涼さんは、優しいから私にそれを言えないんじゃないかって。

涼さんには、仲のいいお友達がたくさんいらっしゃるし、きっと委員長という役職がなければ私と一緒にいるはずがない人だから。

「エンジェルちゃんも、俺の友達でしょ?それとも俺とご飯するのイヤ?」
「まさか!すごく嬉しいですよ?」

少し悲しそうにそう言う彼を見て、私はひどいことを言ってしまったのかもしれないと思いました。

毎日、毎日私に付き合って下さる涼さんに感謝こそすれ、イヤだなんてことがあるはずないのに。

けれど、欲張りな私は、嬉しいはずなのに涼さんの「友達」という言葉が胸にチクリと刺さりました。

「だったらいいんじゃない?俺もエンジェルちゃんのお弁当食べれて嬉しいし」
「私、涼さんと一緒にいてもいいんですか?」

涼さんはにっこり笑うと、またお弁当を食べ始めます。
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