Oh まい シスター
「まぁ、妥当な話だね」
兼笠は一通り事情を聞き終えるとまず始めにそう言った。
佐木原はよっぽど重症らしい。
そして兼笠は次に、
「君はこんな面倒事にはもう"あの日"で懲りたと思ってたけどな」
予想外の言葉に俺は手元から視線を上げた。
言われた内容が予想外だったのではない。
兼笠の口から"俺を含む"過去の話が出た事が予想外だった。
「狛音とはまだ交流があったんだな」
そう言った兼笠の顔にはいつも貼付けている笑みはなく、たいして興味もなさそうな、色んな事を諦めて来たような目で、斜め前の床を眺めている。
そこにはいつもの作り物めいた人格はなく、一種の生々しい歪んだソレがあった。