Oh まい シスター
教室に着くと、相変わらず清里は姿勢良く、まるで人形みたいに座って、まだ授業が始まっていないからかまったく動かない状態で奥の席にいたが、俺が入って来た事に気づくなりその双眸を瞬時に崩し、天使と見紛うような笑顔を俺に向けた。



…ここ、重要。
ほんと一瞬だから、この幸せ。

網膜に焼き付けないと、この一瞬後からの日常を頑張れない。



「やーモンブラハム君じゃないですかーっ!!」













変な、名前で、大きな、声で、手を、振るな。






しかもこんな状態の清里が佐木原兄妹と兼笠以外の人間の名前を発した事に驚いた教室中の生徒がすごい勢いで入口に立つ俺と日野木を見る。


「何、お前のあだ名モンブラハムなの?」




俺の後ろにいた日野木の言葉で残念ながら対象が俺だってことがばれてしまった。



「なんだって良いんだよ。
あいつは…」

「ねぇなんで返事しないの何と話してんのねぇー」

「あーもー俺はんな名前じゃねーよ」





日野木の言葉に対する返事を先にしたことで空ろに笑っている清里の声が高くも平坦になる。
普通に恐い。





「き、清里ーいつの間に坏宮と仲良くなったんだー?」

「イブソン君は宗太の素晴らしすぎる魅力についてどう思うー?」


超アウトオブ眼中。
日野木、ドンマイ。



「残念だが俺はそんな名前でもねぇし佐木原の魅力とやらもお前程にはわからん」

「そうだよねだって私宗太のお嫁さんになるんだもん一番宗太の魅力わかっててあたりまえだよねそーだよねー」



なんか強制的に空いてた清里の隣の席に座らされて無理やり奴の宗太談義を聞かされる。
少し遅れて入って来た教師もいつも黙々とノートをとっている清里の変わり具合に驚いたようだったが、注意をしても一切無視で、当てた時のみ正確に返答する清里をそのうち黙認した。




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