【短編】キミと、あたし。
「初めまして、加藤 春基です。宜しくお願いします」
2年生になったばかりのあたし達に 新しい仲間が増えた。
田舎にほど近い場所にあるうちの高校。
だから転校生は珍しくて。
120人いる学年中が彼の名前を覚えるまで そう時間はかからなかった。
その理由は転校生だから だけじゃない。
彼はこの田舎で良くも悪くも目立っていたのだ。
明るい髪に、じゃらじゃらつけたピアスやネックレス。それに、かなりのイケメンだとみんなが騒いでいた。
見た目は怖いけれど、親しみやすい性格で
一気に彼に人気が集中した。
「元気、だよねぇ」
昼休み、アミがお昼を食べに教室へやってきた。
またクラスが分かれて寂しいから と毎日のように来てくれるのだけど。
それはあたしにだけ言ってくれてるものでない事に あたしは気付いている。
テツでしょう?
本当はテツに会いに来ているんでしょう?