【短編】キミと、あたし。
この不毛な恋を続けて早一年。
始まりは些細なことだった。
高校1年の、秋も終わりに近づいた頃、
テツとたまたま日直が一緒になった。
今までに何度か用事を伝えるためだけに話してはいたけれど、その時ほど他愛もない話をしたのは初めてだった。
部活があるという事も忘れ、急ぐ事もなく
ただただ話に花を咲かせていた。
こんなにも話が合うなんて、初めて。
優しい笑顔を見る度に、何故か胸が踊るの。
他の男子とは、なにか違って見えた。
そんな時だった。
ガラリと教室の扉が空き、
「楓ー?部活来ないつもり?」
入ってきたのは、可愛い可愛い親友。
愛してやまない大親友。
「アミ!ゴメン、忘れてたー!」
中学からずっと一緒で、誰にでも優しく人懐っこい笑顔を持つアミが大好きで
誇らしくもあった。
何の取り柄もなく、可愛くもない。
友達も多い方じゃないと思う。
そんなあたしの親友が彼女だってことが 唯一誇れる自慢だった。