【短編】キミと、あたし。
「先生に呼んで来いって言われたんだけどー」
一歩一歩近づいてくるアミをテツに紹介しようと
目の前に座る彼を見た時
直感した。
そわそわと落ち着かないテツ。
目線は机に行ったり窓の外に行ったり、定まらない。
心なしか頬が紅い気がする。
ああ、そうか。
彼はアミが好きなんだ。
「うんーー。日誌書き終わったら行くから、先に戻っておいて?」
意地の悪いあたし。
でも、これ以上彼の目の前にアミをいさせたくなかった。
テツの笑顔は見せたくなかった。
だってきっと、笑顔を見てしまったら
アミもテツを好きになってしまうから…。
「そう?なら早くきなよ?今日はマフィンなんだからー」
じゃあね
そう言って彼女は教室を出て行った。
甘い香りだけを残して。