大嫌い[短編]
上から聞き覚えのある声
が溜め息をついていた。
『お前本当にダサいなぁー。
鈍臭いし…何も分かってない!』
「…え?」
『好きじゃない奴に
好きなんて…
冗談でも言わない。』
「…拓…。」
『なのに分かってない…。
…自分でも分かってた。
こんな事しても俺の気持ちは
姫香に伝わらないって。』
「…っ。」
私がいけなかったんだね…
分かったつもりでいた。
誰よりも拓を知ってる
つもりでいたんだけど
全く知らなかったんだ。