人間の最後
追尾
『4章』

「一美、・・本当に死ぬのか?」

「だって・・しかたないでしょ・・」

「仕方ないって・・。でも・・」

「赤ちゃん産めないし、お金盗んじゃったし・・」

「・・・」

「なんでこんな風になっちゃったんだろう」

二人は昨日、お巡りさんに見つかる前に約束したとおり駅で待ち合わせをしていた。
そして、宛もなく東京行きの電車に乗っていた。

3時間もすれば東京に着く。

今は何も考えたくない。

二人は疲れ果て眠ってしまった。

二人が寝ているあいだ、途中の駅からは
一美の父親の部下“川尻”が隣の車両から二人を見守っていた。
川尻は強引に家につれて帰ることもできた。

しかし、二人を見守るのも親の務め、“ギリギリまで見張りを頼む”と川尻は一美の父、澤島から伝えられていた。

“大したことはしないだろう。くれぐれも見つからないように社会の厳しさを実感させてやってくれ“ということだったのである。

しかし、今の高校生は大したことをする・・・

二人の意思は川尻が乗り込む前に固まっていたのだ。


電車は東京駅に着く。

そして、その川尻が“あっ”と声を上げた瞬間。
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