人間の最後
二人はホームに身を投げたのである。

これには川尻もどうしようもなかった。

その最中(さなか)、
人ごみは、電車に潰されたその二人に興味もなく、通りすぎていく。

二人の涙と笑顔に気づいたのは川尻だけだった。

歩く人々の服装は秋を漂わせていた。
10月の初めの出来事だった。


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