人間の最後
現実逃避
『2章』
泉は一美と別れたあと、駅にいた。
夕暮れ時の、
二人の住む田舎町にポツンとある小さな無人駅だ。
そこの駐輪場で一台の自転車を盗む。
“クロスバイク”といわれる遠出の出来る自転車だった。
それは小学生の時に、泉が親に買ってもらった自転車と同じ種類の自転車だった。
ドロップハンドルではない、一文字のハンドルに24段変速のギア、そして、極細タイヤ。
10キロそこそこの重さのそのバイクはかなり軽快に走る。
泉はなぜ・・
泉は逃げるつもりだったのである。
家に帰れるわけがない。
優しい母親に
“赤ちゃんできてしまった。”
なんて言えるわけがない。
父親には殴られる。
どうしていいか分からない。
今の状況を忘れるために、泉は少しでも遠くに逃げるしかないのだ。
泉は一美と別れたあと、駅にいた。
夕暮れ時の、
二人の住む田舎町にポツンとある小さな無人駅だ。
そこの駐輪場で一台の自転車を盗む。
“クロスバイク”といわれる遠出の出来る自転車だった。
それは小学生の時に、泉が親に買ってもらった自転車と同じ種類の自転車だった。
ドロップハンドルではない、一文字のハンドルに24段変速のギア、そして、極細タイヤ。
10キロそこそこの重さのそのバイクはかなり軽快に走る。
泉はなぜ・・
泉は逃げるつもりだったのである。
家に帰れるわけがない。
優しい母親に
“赤ちゃんできてしまった。”
なんて言えるわけがない。
父親には殴られる。
どうしていいか分からない。
今の状況を忘れるために、泉は少しでも遠くに逃げるしかないのだ。